空也上人と私

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言葉が形になった空也上人像

声優・小野大輔さん

声優としていつも心掛けていることは、声に魂をのせる、ということです。「言霊(ことだま)」という言葉がありますね。人の言葉はただの音声ではなく、そこに生きる人間の熱量がのっている。だからこそ、人に届くのだと考えます。声は目には見えず、ともすれば通りすぎていってしまうもの。だからこそ、言葉を大切にしたい、言葉を確かなものにしたい、言葉を後世に残したい。



空也上人立像をみていると、「言葉を形にする」「声を仏にする」ということが、仏像という形で表現されていますね。これは僕らの仕事にもつながることだと思います。声優として目指すべき場所はここだと思いますし、お像を見るたびに心を新たにします。

空也上人が成し遂げられたことは、一般市民の方々に念仏を広めるということでした。「南無阿弥陀仏ととなえるだけで人は救われる」という考え方には、分け隔てなく全ての人を救おうとする上人の想いが込められています。
現代においても、何気ない一言が人を救うことがあると思います。例えば「大丈夫」や「ありがとう」という言葉。聞くだけで前向きな気持ちになれたり、温かい気持ちになれたりする瞬間がありますよね。言葉で人は救われるということは、この現代社会にも活かせる大事なことだと思います。

この苦しい時代に展覧会が開催されることは、ひとつの希望だと思います。空也上人は歴史の中で、辛い時期に困難な状況に立ち向かいました。そしてその時代の民衆のため、念仏という希望を抱えて、旅をしながら人々を救ってきました。
現代も今まさに困難な状況にあります。ぜひこの展覧会をご覧いただき、空也上人がとなえた念仏のように、そこに希望を感じとってほしいと思います。ご覧になった方が明日を生きるポジティブな力を、この特別展から感じてくれたらうれしいです。



小野大輔さん