空也上人と私

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空也さんの懐の大きさ

歌手・沢田知可子さん

私は近年、「歌セラピー」という活動をしています。2004年に中越地震の被災者のためのチャリティに参加した時、なくなった恋人への思いをつづった代表曲「会いたい」を歌いました。歌っている間、会場では突然ひょうが降り、やがて雨になり、そして晴れ上がるという神秘的な経験をしました。そのとき、「会いたい」は鎮魂歌なのだ、大切な人を失いながらも、生きて行く人たちのかなしみや不安を鎮めてくれるのだと気づきました。その後も、スマトラ沖地震のチャリティや東日本大震災の復興のためのライブなどに出演して、歌による心の復興や心の再生を人生のテーマとして、活動を続けています。



2004年12月 長岡復興チャリティーコンサート

2011年6月 宮城県亘理町でのミニライブ

そして2022年。六波羅蜜寺を開いた空也上人が没後1050年を迎えるのを記念し、ご縁があり、空也上人の歌(短歌)をテーマにした曲を歌うことになりました。

ひとたびも
南無阿弥陀仏という人の
蓮(はちす)のうえに のぼらぬはなし

一度でも南無阿弥陀仏と称えれば、みな極楽浄土に行けるのですよ、という歌の内容は、誰をも救ってくれ、肯定してくれるゆるしの世界と感じます。コロナ禍で世界は混沌とし、人びとはいがみあい、互いのねたみやそねみも浮き彫りになったように思います。でも、空也上人の言葉には人の気持ちを前向きにし、受け入れてくれる懐の大きさを感じます。空也上人の生きた時代にも今と同じように疫病が流行り、上人は念仏を称えながら町中を歩き、苦しむ人にお茶を飲ませ、遺体があれば火葬をし、民を救ったと言われています。今の時代にも必要なスーパーマンですよね。

今度の展覧会では、ふだんお寺では見ることのできない空也上人像の背中まで見ることができるそうですね。すべてをそぎ落とした、しゅっとした体つきで、どこから見ても美しい姿だと思います。魂からあふれ出る、口元の「南無阿弥陀仏」にも注目したいです。
私は色々な土地へ向い歌っています。南無阿弥陀仏を称え歩いた空也上人に共鳴するものを感じます。「念仏を称えれば君たちも極楽浄土へ行けるんだよ」と説き、力のある限り活動し続けた空也上人の情熱=パッションに、強く惹かれてます。

2011年6月 宮城県亘理町でのミニライブ



沢田知可子(さわだ・ちかこ)

歌手。1987年『恋人と呼ばせて』でデビュー。1991年「会いたい」が130万枚 の大ヒット、日本有線放送大賞受賞、NHK紅白歌合戦出場。2000年には 「21世紀に残したい泣ける名曲」として1位に選ばれる。2005年から『ココロとカラダに優しい歌薬』をテーマにした【歌セラピーコンサート】を開始し、各地でチャリティーコンサートを行う。2022年デビュー35周年に向けて作詞家、松井五郎をプロデュースに迎えて洋楽の名曲を日本語歌詞でCoverするアルバムをレコーディング中。
沢田知可子オフィシャルサイト
沢田知可子オフィシャルYouTube





「ひとたびもー祈りの声」沢田知可子
特別展「空也上人と六波羅蜜寺」特設ショップにて
CD(2,000円〈税込〉)発売予定